微生物が他の生物の体内に入り込み、共生を始めたのは35億年以上前です。
勿論、人類が誕生した時(600万年前)には既に微生物は人類の体内に存在しました。
こんなにも長い間、他社と共存している微生物ですが、発見されたのはほんの120年程前で、今世紀に入ってから研究が進み、人体微生物叢の概念が発展しました。
人体微生物叢とは、私たちの体内に存在する多様な微生物の集合体を指します。これには細菌、ウイルス、真菌、アーキアなどが含まれます。
人体微生物叢のいくつかの重要なポイントをあげます。
多様性と個性 人体微生物叢は個人ごとに異なり、独自の微生物の組成を持っています。これは遺伝的要因、環境、食事、生活スタイルなどに影響されます。
共生関係 微生物は私たちの健康に影響を与えるだけでなく、私たちの体にとって重要な役割を果たしています。例えば、腸内細菌は食物の消化や免疫機能の調節に関与しています。
腸内細菌
腸内細菌は最も研究されている微生物であり、腸内環境を整え、栄養素の吸収を助けています。
免疫系との関連 微生物は私たちの免疫系に影響を与え、自己免疫疾患やアレルギーの発症に関連しています。
母親の子宮内にいる赤ちゃんは無菌状態ですが、生れ出る時に産道で母親の常在菌をもらうのです。なので個々の人間の持つ微生物はそれぞれ違うのです。
そしてなんと、私たちの体には100兆個を超える数の微生物(主に細菌)が存在するといわれています。人体を構成する細胞の数が約37兆個ですから、それより多くの微生物と生活していることになります。
こうなりますと、私たちの体は、人間の細胞と微生物の細胞、遺伝子が融合した「超個体」と言えるのではないでしょうか。
ヒトの遺伝子の数は約20,000から25,000個と言われていますので数で考えると、ヒト=微生物と言っても過言ではない気がしてきました。
そんなことを考えていると、英国バブラハム研究所 ニュースリリース 2018/01/09で「How good bacteria control your genes(良い細菌が遺伝子をコントロールするメカニズム)」という研究がある事を教えてくれる記事に出会いました。
内容を簡易な文章に置き換えてくれている説明文は以下のようなものです。
英国ケンブリッジ近郊にあるバブラハム研究所(Babraham Institute)の科学者たちは、ブラジルとイタリアの研究者たちと協力し、腸内の優れた細菌が細胞内の遺伝子を制御しているメカニズムを発見した。
ネイチャーに発表されたこの研究は、腸内細菌からの化学的メッセージがヒトゲノム全体の重要な化学マーカーの位置を変える可能性があることを示している。
このように化学的メッセージが腸内細菌から伝わることで、細菌は感染症と戦い、また、ガンを予防するのに役立っていると見られる。
パトリック・ヴァーガ・ウェイス(Patrick Varga-Weisz)博士が率いるこの研究は、果物や野菜の消化により腸内の細菌によって産生される化学物質が、腸内層の細胞内の遺伝子にどのように影響を与えるかを示している。
これらの分子は、短鎖脂肪酸と呼ばれ、細菌から私たち自身の細胞に移動し、そして、細胞内で遺伝子活動を変化させ、最終的に細胞の働きに影響するプロセスを引き起こす可能性がある。
上記の文章でも私には難しいのですが、要するに病気や健康問題を考える時、外部的な要因以外の原因は全て体内に共生している微生物が影響を与えていると言う事になるかと思います。
更に腸内細菌がヒトの性格に影響を与えているという研究もあるようです。
オランダの研究では、神経症傾向と関連する腸内細菌叢が存在することが示されました。
アメリカの研究では、攻撃性と関連する腸内細菌叢が存在することが示されました。
日本の研究では、社交性と関連する腸内細菌叢が存在することが示されました。
生まれる時に母親から微生物を分けてもらいますが、その後は自身で体内の微生物を増やさねばなりません。食事は微生物を摂取する上で欠かせない行為です。特に、多種多様な微生物の豊富な土壌で育った栄養たっぷりな・元気な野菜を摂取すれば体内の微生物も多種多様になり、病気に対する免疫力を保て、性格形成にも良い影響を与えるのだなと思っています。
微生物いっぱいの土壌を作るのに、竹チップがお手伝い出来ます。
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